【管理栄養士監修】糖質を抜けば痩せるわけではない。正しい糖質制限をおさらい

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ここ数年、「糖質オフ」「糖質制限」「炭水化物抜きダイエット」など、炭水化物や糖質を抜くダイエットや健康法が注目をされています。

 

「糖質は悪者」「糖質を抜くと長生きする」など極端な主張がありますが、本当に糖質は、必要ないものなのでしょうか?

糖質とは何を指している?

糖質オフといっても、実は「糖質」についてよくわかっていない方、甘いものを指すと誤解している方も多いようです。

糖分と間違えている方も多いようですが、糖分は、砂糖などの甘みを表す言葉の1つです。

 

主食と言われる米飯、パン、麺類に多く含まれる栄養素を「炭水化物」と言います。炭水化物は、糖質と食物繊維が合わさったものを指し、人の消化酵素で消化されるものを「糖質」、人の消化酵素で消化しないものを「食物繊維」と分類されています。 

 

つまり、「糖質」とは、砂糖を使ったお菓子だけでなく、ご飯やパン、麺などの主食、果物、芋類、甘みのある野菜、嗜好飲料、調味料、などさまざまな食品に含まれている栄養素の1つなのです。

 

エネルギーがある栄養素は、糖質(4kcal/g)、たんぱく質(4kcal/g)、脂質(9kcal/g)の3つですが、糖質はこの中で、メインのエネルギーとして働きます。また、余った糖は、筋肉にグリコーゲンとして少量蓄える以外は、中性脂肪として、体内に貯蓄される働きがあります。

糖質は、大きさによって種類も作用も違っている

糖質には、種類があり、形や種類によって、体内への吸収速度、代謝経路などが異なります。

 

一番吸収が早いのは、単糖と言われるブドウ糖や果糖です。

単糖類は、分解されずそのまま吸収されるため、血糖値を一気にあげていきます。嗜好飲料のラベルをみると「ブドウ糖果糖液糖」などと書かれているものがありますが、これは、吸収の高い糖ということになります。

 

果糖は血糖値の上昇は少ないですが、ブドウ糖と別経路で代謝され、高尿酸血症や中性脂肪上昇のリスクとなることが問題です。

 

次に吸収が早いのは、二糖類です。

糖類として一番有名な砂糖は、二糖類になります。二糖類は単糖が2個結合したもので、種類としては、砂糖の主成分のスクロース(ショ糖)、麦芽やハチミツに含まれるマルトース(麦芽糖)などがあります。

 

多糖類とは、単糖類などが多数結合したもので、糖を分解しながら吸収されるため、糖質の中では、ゆっくりと吸収されます。

穀類やいも類などに含まれるデンプンなどがあります。この多糖類に、食物繊維がくっつくことで、炭水化物と言われ、米や小麦などがあります。

糖質制限は必要なのか?

さて、糖質は甘いものだけではないとお分かりいただいたところで、「糖質制限」は必要なのかを考えていきます。

 

現代の食生活を考えると、糖質を多く摂取している傾向があります。どこでも手軽にお菓子やジュースが購入でき、水分補給としてジュースを飲む、食事の代わりに菓子パンやドーナツを食べる方もいます。定食屋やラーメン店では「天丼+うどん」・「ラーメン+チャーハン」など麺類×ごは んのセットなど炭水化物中心のメニューをよく見かけます。

 

つまり、必要以上に摂取している傾向のある糖質を減らすことは効果があると言えます。主食であるご飯やパン、麺などを真っ先にやめるのではなく、まずは、余計に食べているお菓子類や、嗜好飲料をやめてみること。次に、炭水化物だけに偏った食事の仕方をやめてみること。糖質制限は、ここからスタートすることがおすすめと言えます。

 

 日本では2014年ごろから糖質制限・糖質オフ・低炭水化物食が注目され、メディアや雑誌で特集されるなど、「糖質制限ダイエット」がブームになりました。コンビニや定食屋でも糖質オフメニューや糖質オフ商品が次々と発売されていますので、こうした商品を取り入れてみるのも一つの方法かもしれません。

糖質制限は効果があるのか?安全なのか?

糖質の過剰摂取は、糖尿病や肥満、血管の炎症による動脈硬化、がんなど様々な疾患原因となることがわかっています。逆に、糖質制限によるリスクも研究されています。

 

米国で糖質制限食は、短期的な体重減少や動脈硬化リクの改善に有効であるとの論文がありますが、長期的な糖質制限の安全性が見直されています。「糖質制限食による死亡リスク – メタアナリシスによる検証 –」によると、低炭水化物による長期的な有効はなく、死亡リスクが増加すると考えられています。また、炭水化物制限の長期的な効果には研究が必要であるとされています。

 

2017年カナダ・マックマスター大学のMahshid Dehghan氏ら5大陸18ヵ国35~70歳男女13万5335人を対象として全死亡・心血管疾患への食への影響について大規模前向きコホート研究の結果が報告されました。食事摂取量を食事摂取頻度調査票調査した後、約7年半追跡した結果、炭水化物量が多いほど、全死亡リスクが高い結果となりましたが、心血管疾患または心血管疾患との関連性は認められませんでした。また、脂質摂取が多いほど全死亡リスクが低いという結果が出ました。

 

1987~1989年米国にて45~65歳の1万5428人を対象に、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のScott Solomon氏らがアテローム性動脈硬化症に関する25年追跡コホート研究が行われました。炭水化物の摂取状と死亡率の関連について食物摂取頻度調査票を用いて調査しています。

 

その結果、摂取エネルギーの割合が、炭水化物50~55%だった場合に最も死亡リスクが低いとされました。さらに、寿命にも関連性がみられ炭水化物50~55%摂取の方の寿命は、30%未満に制限している方よりも4年長く、65%を超える人よりも1年長いという結果が出ています。

 

2015年世界保健機関(WHO)は新ガイドライン「成人及び児童の糖質摂取」を発表し、「成人及び児童の1日当たり遊離糖類摂取を、エネルギー総摂取量をエネルギー総摂取の10%未満に減らす、また5%まで抑えるとさらに健康効果が増大する。」とされました。

 

この遊離糖類とは、単糖類と二糖類のことで、砂糖やはちみつ、ジュースに含まれる果汁などを控えることで様々な疾患の予防になるとされています。つまり、砂糖やブドウ糖、果糖を抑えることが健康だという方針が出ているわけです。

 

こうした研究結果からも考えると、糖質をゼロにするという考え方よりも、摂りすぎを抑えることが大切であるということが見えてきます。

正しい糖質の適正量とは?  

では、どのくらい食べたら適正量なのでしょうか。日本人の食事基準(厚生労働省)によると、1日に必要な炭水化物量(目標量)は男女ともエネルギーの50~65%とされています。

 

たとえば、30~49歳女性の場合、一般的な推定エネルギー量は2000kcalです。このうちの50~65%を炭水化物と考えると、2000kcal×0.5~0.65=1000kcal~1300kcalのエネルギーを炭水化物から摂取するのが良いと言えます。炭水化物は、1gあたり 4kcalなので、1日の炭水化物量は、250~325gがちょうど良いということになります。

 

食品で考えた場合、ごはん1杯(糖質58.9g)、食パン6枚切り1枚(糖質26.6g)、茹でうどん1玉(糖質52g)ほどです。1日で、ご飯、食パン、うどんを食べても、合計の糖質量は、137.5gです。つまり、主食を3回食べても、1日の炭水化物の目標量以内なのです。

 

やはり、問題なのは、糖分を多く使用しているお菓子や飲み物などです。

嗜好品の糖質は、缶コーヒー(加糖)約12g/缶(190ml) 、炭酸飲料約60g(500ml)ほど。これは、食パン6枚切り1枚と同じくらいの糖質量です。

正しい糖質制限の食事ポイントは?

菓子類、ジュース類などの余分な糖質摂取を減らそう

お菓子、嗜好飲料などには、血糖値が急上昇しやすい砂糖、単糖類(ブドウ糖果糖液)が含まれています。少量でも日常的に食べる習慣がある方は、糖質の摂取量は過多になりがちです。口さみしいときには、ヨーグルトやチーズ、お茶や無糖の炭酸水などにしてみましょう。

 

また、ビールやカクテルなどのアルコールにも糖質が含まれています。糖質が含まれていないハイボール、ウイスキー、泡盛などに変更するのもおすすめです。糖質を控えめにした糖質オフの商品が色々発売されているので上手に利用するのもよいですね。嗜好品の栄養成分の糖質表示を一度確認してみましょう。

主食(ごはんやパン)は精製されていないものを選ぼう

同じ主食(ごはん、パン)でも、精製していないものには食物繊維が含まれ、血糖値の上がり方が違います。たとえば、精製されていない玄米には、食物繊維や栄養成分を豊富に含まれています。

 

しかし普段、食べている白米や、食パンに使われている小麦粉は、精製されています。食パンと胚芽パンで比較してみると、胚芽パンは食物繊維が含まれ、血糖値をゆるやかに下げる作用があります。

 

食パンではなく胚芽パンを選ぶ、白米だけではなくは玄米、大麦、雑穀などを混ぜて炊くなどがおすすめです。最近は、コンビニでも玄米入りおにぎりが販売され、外食でも玄米ご飯を選べるお店も増えてきたので、チェックしてみましょう。

食事は野菜から食べるベジファースト

食物繊維には水に溶けない不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維があります。

水溶性食物繊維は、粘性があり、食べ物が胃から十二指腸への移動を遅らせでんぷんの吸収をゆるやかにして、血糖値の急上昇やインスリンの分泌を抑える作用があります。

 

水溶性食物繊維の多い食品は、こんにゃく、大麦、海藻類などに含まれています。また、食物繊維が多い食品は、雑穀、玄米、野菜、キノコ類、海藻などです。糖質(ご飯)を食べる時、食物繊維の多い野菜やキノコ類から食べる「ベジファースト」で、食物繊維を含む食品を一緒に摂取しましょう。

いかがでしたでしょうか?

糖質制限といっても、まず始めるのは、吸収の早い糖質から初めてみるのがおすすめです。

また、厳格な糖質制限場合は、栄養バランスを崩すなどのデメリットもあり、自己流でストイックな糖質制限はおすすめできません。全く食べないと、一時的に痩せますが、リバウンド可能性が大きくなりますので、無理なく出来ることから実践しましょう。

 

 

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