健康維持は腸から始める!?腸内環境と健康の関係

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最近、さまざまな健康メディアや雑誌の特集などで「腸内フローラ」や「腸内環境」といったワードが取り上げられているように、今や世間は腸活ブームです。

 

腸と健康に密接な関わりがあることは様々な研究データからわかってきており、一般的にも「ヨーグルトや発酵食品が腸内環境を整える」「腸もみ、マッサージがいい!」など健康情報が飛び交っています。

 

なぜこんなにも「腸」が注目されてきているのでしょうか。

今回は、知っているようで意外と知らない腸内環境と健康の関係について、現役小児科ナースが子どもにも説明できるくらい噛み砕いてご解説します。ご家族みんなでセルフケアに取り組んでもらえると嬉しいです。

解剖生理学からみた腸

腸とは、口から肛門までつながっているとても長い消化管の中の一部です。

 

小腸、大腸と2つの名称にわかれています。さらに、小腸は、十二指腸、空腸、回腸とわかれており、大腸は、結腸、直腸にわかれています。

 

次に、食べ物が通る道である「消化管のはたらき」と「食べ物が通過する時間」について説明します。

 

順番 部位 時間 役割
数秒 歯で、食べ物を小さく咀嚼して、舌が唾液と混ぜ合わせて食道に送る。
食道 数秒 食道壁の蠕動運動によって小さくなった食べ物を胃に送る。
3~4時間 食べ物と胃液を混ぜ合わせる。胃液にはタンパク質の分解酵素が含まれており、体が吸収しやすいように食べ物をより小さく分解する。
小腸 7~9時間 水分と必要な栄養分を吸収する。
十二指腸 膵液と胆汁が出てくる場所。ここで本格的な消化が始まる。
肝臓 胆汁(脂質を分解する働きがある)を作り、胆のうに送る。
膵臓 膵液(タンパク質、脂質を分解する酵素を含む)を作り膵管から十二指腸に送る。
胆嚢 胆汁を濃縮し十二指腸に送る。
大腸 15~30時間※体質や食べたものにより変動 水分を吸収し体に不要なものを固める。
肛門   いらないものを体から出す。

 

このような流れで、食べ物は口から入り、体に吸収されて不要なものが便として出ていきます。

食べ物の通過時間からみると、腸が22時間〜39時間と一番長いことがわかりますね!

 

小腸の長さは約6mで、表面積は約200平方メートル。これはテニスコート約1面分に相当すると言われています。

また、大腸の長さは約1.5mで表面積は約100平方メートル。テニスコートの約半面相当と言えます。

 

なぜこんなに表面積が広いかというと、空腸、回腸の内壁は高さ1mmの腸絨毛という突起物でおおわれており、その表面にはさらに微絨毛が生えていて、絨毯のように腸管全体に張り巡らされているからです。

この柔毛のおかげで、表面積が広くなっており、栄養素や水分を無駄なく吸収するしくみになっています。微絨毛の表面には、ここまで吸収されてきた栄養素を種類別に選び、最小サイズの栄養素にして吸収する酵素が並んでいます。柔毛の内部には毛細血管とリンパ管が通っています。

 

栄養素は、この毛細血管やリンパ管に溶けた状態で、全身に運ばれて行きます。

また、腸絨毛には、線毛運動という、食べ物を肛門側に送り出すはたらきもあり、栄養素の流れをスムーズにする役割もあります。

 

以上のことから、腸は表面積を広くすることで栄養素を効率よく吸収し、不要なものを排泄する臓器であり、栄養素の吸収にはとても時間がかかることがわかりますね。

腸は沢山の工程を経て私たちの身体に必要な栄養素を届けるために頑張ってくれているのです!

 

腸の役割

次に、腸の持つ5つの役割を説明します。

 

<腸の持つ役割>

1 消化

2 吸収

3 排泄

4 免疫

5 セロトニン分泌

 

それぞれを詳しくみていきましょう。

 

腸の役割1「消化」

消化とは、体内に取り込んだ食物を吸収可能な液体状にして細胞が利用できる形にすることです。

 

消化は体中の活動の中で一番エネルギー使うとゆうことをご存知でしょうか?

1日3食をしっかり食べた場合、その消化に必要なエネルギーは、フルマラソン1回分に相当すると言われています。

 

食べる量が多いと、消化のエネルギー量が増えてしまい、細胞の修復や新陳代謝などにエネルギーが使えなくなってしまうのです。

高熱や体調不良の時に食欲が落ちるのも、消化のエネルギーを減らして治癒のエネルギーを増やそうとすることによる、身体の正常なサインです。

 

「早く治すために頑張って食べなきゃ!」と思いがちですが、実は食べずに寝たほうが断然回復が早いこともあります。

 

腸の役割2と3「吸収・排泄」

この2つの役割は、お互いに重要な関わりをもつため、一緒に説明していきます。

 

柔毛から、小さく分解された栄養素を体に取り込むことを吸収といい、不要なものを便として身体の外に出すことを排泄と言います。

 

摂取した栄養素が、全て絨毛で取り込めれば良いのですが、私達が普段摂取している食品には、栄養素のほかに、食品添加物、化学薬品、農薬、酸化した油なども含まれます。これらは、腸絨毛の間にへばりつくような形で、吸収を阻害する要因ともなります。

 

何らかの原因で排泄の機能が落ちると、絨毛がうまく働かないため、吸収の機能も落ちます。

 

栄養素が身体の組織に行き渡らないと、脳は身体が栄養不足だ!と勘違いをし、栄養を摂取するように指令を出します。

 

この指令を空腹として感じるため、腸が動かないところにまた食べ物を入れてしまい、どんどん溜まっていくとゆう悪循環に陥ってしまいます。

吸収と排泄のバランスがとれていることが大切とゆうことです!

 

腸の役割4「免疫」

そもそも免疫とは、体内で発生したがん細胞や、外から侵入した細菌、ウイルス、異物を常に監視、撃退する自己防衛システムのことを言います。

 

腸内には免疫細胞の約7割ほどが存在しているとも言われ、健康であれば、免疫機能がはたらくため多くの細菌やウイルスは撃退できます。

 

日常生活の中には体に悪影響を及ぼすウイルスや細菌微生物、化学物質なども沢山存在していますが、免疫機能がしっかりと働いているおかげで、身体機能が保たれています。

風邪をひいたときは免疫が弱っている=「腸内環境がみだれている」証拠かもしれません。

 

腸の役割5「セロトニンの分泌」

セロトニンとは自律神経の働きに関与しているホルモンのことです。

自立神経とは、交感神経、副交感神経の2つに分かれています。

 

交感神経は、身体活動が盛んになった(=仕事やスポーツなどの活動)時に体の臓器や組織を、その状態に適応させるように働く神経です。

 

一方で副交感神経は、身体がリラックスしている(=睡眠などの休息)時に働く神経です。

 

この2つの神経の働きに関与するホルモンに、ノルアドレナリン、ドーパミンというものがあります。ノルアドレナリンは、交感神経を活発にして緊張や集中、積極性をもたらします。ドーパミンは、副交感神経を活発にして、喜びや快楽をもたらす効果があります。

 

セロトニンは、このノルアドレナリンとドーパミンのバランスを整え、感情をコントロールし、安定した精神状態に保つ働きをしています。

 

セロトニンの分泌が少なくなると、感情をコントロールすることが難しくなり、衝動的になったり、不安やうつ、パニック、気分の落ち込みが激しくなったりという精神症状を引き起こすと考えられています。逆に、セロトニンの分泌が過剰になった場合も、錯乱や混乱、興奮、手足の震えなどといった症状を引き起こすと考えられています。

 

以上のように、精神状態にとって重要な役割を担っているセロトニン。

神経に携わっていると聞くと、脳で分泌されるイメージがありますが、実は約9割以上が腸内で分泌されているとも言われており、安定した精神状態を保つためには欠かせない、重要なホルモンなのです。

現代人の腸内環境

腸の解剖や仕組みから、腸と健康には深いかかわりがあることがご理解いただけたかと思いますが、腸内環境が乱れている人が増えているといわれています。

 

原因は、食の欧米化や、経済発展により消化に悪い食べ物の摂取や、過食気味の人が増え、消化が追いつかない状態である人が増えたためと考えられます。

 

本来であれば排泄されるべき不要なものが体の外に排泄できず腸の中にとどまると、腐敗して毒素となり、体に悪影響を及ぼします。栄養を吸収するはたらきのある腸の絨毛に毒素がたまった状態では、必要な栄養素も取り込めません。

 

栄養素が不足すると、細胞全体の機能が落ちていき、他の内臓や髪や爪など体の末端にまで栄養が届かないため、肌荒れや疲れやすいなどの不調を引き起こす原因となります。

 

また、免疫力の低下から、ウイルスや細菌などの外敵と闘う力もなくなっていき、多くの病気を引き起こす原因にもなります。このことからも、腸内環境を整えることが健康維持の基本であることがわかります。

 

デトックスの必要性

体内でもっとも不要なものが溜まっている場所が腸であり、腸内で排泄できなかったものが腐敗して体内で毒素となることを説明しました。

 

しかし、毒素は体内で発生する以外にも、身の回りにたくさん潜んでおり、日常の生活環境で知らず知らずのうちに体内に取り込まれています。食品添加物や排気ガスもそうですし、ストレスによる活性酸素も体に悪影響を及ぼす毒素となりえます。

 

しかし、本来身体には解毒作用も備わっており自然と不要なものは排泄される仕組みが整っています。

臓器の中で言うと主に肝臓が解毒の役割を担っており、肝臓には、体内に取り込まれたアルコールや薬物、細菌や毒素などを分解して、毒性の少ない水溶性の物質に変換する働きがあります。そして、腎臓からは尿として、腸からは便として人体に不要なものが排出される仕組みになっています。

 

このように、不要なものを排出したり、体内で解毒したりといった本来の体の働きがしっかりと機能していればちょっとやそっとの毒素(有害物質)は無毒化され、体外に排泄されます。

しかし現代人は身体の毒素排出機能が、現代の生活環境によって弱まり、生体内に入れた毒素(有害物)を、中和あるいは排出できないでいる状況にある人が多く、便秘やだるさ、などの不定愁訴がある場合も毒素をため込んでいる場合があると言えます。

 

中和、排泄が可能な量以上の毒素が体に入り、毒素を体内に蓄積することを「体内蓄積」と言いますが、体内に蓄積した環境由来の有害物質が、癌疾患全体の6〜8割に影響を与えているとも言われています(WHO世界保健機構1995)。

 

このように、現代人は、排泄機能・解毒機能が追い付いていない状況にある人も多く、かつ毒素は身の回りに存在し存在を断つことは困難であると考えられるため、生きていく上では、すべての人にデトックスが必要といっても過言ではありません。

 

またほとんどの毒素は便として排出されています。一説では7割以上が便からの排出、汗での排出は1割以下とも言われています。

岩盤浴やホットヨガで汗をかくことでも、すっきりとした体感や、代謝が上がることからデトックス効果が大きいと言われていますが、汗と便では、圧倒的に比率が違います。

 

このように腸に沢山の毒素が溜まり、排泄できなくなると不調が起こるのです。

便秘が万病のもとと言われるのも納得がいくと思います。

いかがでしたか?

以上のことから、腸には栄養の消化吸収の他に、免疫の働きや精神状態を安定させることなど、健康維持に欠かせない働きが沢山あること、また、腸内環境を整え、デトックスを意識することが大切であることがご理解いただけたかと思います。

 

また他の記事で、具体的にどんな習慣を身に着ければよいのか、そもそも毒素、デトックスとは何なのかについてお話していきます。

お読みいただきありがとうございました。

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多くの患者の心身のケアや健康教育に携わる現役病院ナース。 疾患や治療に苦しむ沢山の患者を目の当たりにし、薬での治療の限界と予防医療の必要性を感じ、食育実践プランナー、薬膳コーディネーター他、ヘルスケア関連の資格を独学で取得。 SNSやWebサイトでの健康情報発信や、予防医療の研究&普及に取り組んでいる。

Fooshine

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