ご飯を食べていても栄養失調!?バランス良く栄養を摂るポイント

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「栄養失調」と聞くと、多くの人は食事をほとんど取れていないような状態を想像するのではないでしょうか。

 

しかし、現代ではそうした極端な状態の栄養失調以外に、食事を取っているのにもかかわらず栄養が不足するというような、新しい形の栄養失調が見られるようになりました。

 

偏った食事では特定の栄養素が不足し、新型の栄養失調を引き起こすのです。この記事では、そうした状態を予防するために、栄養バランスのとれた食生活を心がけ、健康な生活を送るためのポイントを解説していきます。

栄養失調とは

栄養失調とは、簡単に説明すると「体に必要な栄養が不足しているために健康が損なわれている状態のこと」です。もちろんエネルギーだけでなく、ビタミンなどの栄養素も十分に摂取できていなくてはいけません。

 

栄養失調には、以下のようにさまざまな種類があります。

慢性栄養失調

子どもの栄養不足が長期間にわたって続き、発育障害が引き起こされる状態です。

急性栄養失調

短期間の間に急激に体重減少などの脂肪や筋肉の消耗が起こります。

主要栄養素欠乏症

最も一般的な栄養失調の形態で、十分な量の食事を取れていない状態です。

微量栄養素欠乏症

代謝機能を適切に維持するために必要なビタミンやミネラルといった微量栄養素さまざまな疾病を引き起こします。

栄養失調の原因は、もちろん十分な食事量や栄養素を取れていないことですが、

現代人に広がる新型栄養失調

毎日食事は取っており必要なエネルギーは足りているのに、特定の栄養素だけが抜け落ちているという状態を新型栄養失調と呼びます。また、別名「現代型栄養失調」とも呼ばれているもので、特定の栄養素だけが不足している栄養失調症です。

 

若い女性に多く見られるのが特徴で、その事例としては、食べる量が少ない状態が慢性的に続き、亜鉛、鉄分、タンパク質不足に陥る、などといったものが報告されています。

 

その原因として挙げられるのは、主に間違ったダイエットや食事の偏りです。

自己流で食事制限ダイエットを行っている、毎日同じメニューだけ食べているというような人は注意しましょう。なお、こうしたケースは若い女性だけでなく、子どもや中年世代の人にも見られる場合があります。

 

新型栄養失調の恐ろしいところは、食事をしっかり食べていても引き起こされるという点です。

食事を取っていればお腹はふくれますし、飢餓状態になることはありません。しかし、健康な状態を維持するにはエネルギーだけでなくバランスの取れた栄養が必要なのです。そして、栄養素の不足はさまざまな不具合を引き起こすのです。

 

例えば、タンパク質が不足すれば臓器や筋肉、免疫細胞などを作るための材料が十分に手に入りません。筋肉が作れなければ太りやすくなり、免疫細胞が不足すれば感染症などへの抵抗力が低下します。

 

このように、新型栄養失調では、食事を取っているからといって安心できないのです。

新型栄養失調による影響とは

新型栄養失調は、人体にさまざまな影響をもたらします。以下にその代表的な影響をまとめてみました。

骨粗しょう症リスクの増大

一般的に、骨密度は女性の場合18歳くらいでピークに達します。

そこから40歳半ばくらいまでは一定値を保っていますが、閉経後、急速に低下していくのです。これは、加齢が進むにつれ、カルシウムの吸収効率やカルシウムの吸収を補助するビタミンDの生産量が低下することが原因となっています。

 

従って、普段の食事にカルシウムやビタミンDなどの骨を作るのに重要な栄養素が不足していると骨粗しょう症のリスクが増大するのです。

糖尿病の発症リスクの増大

新型栄養失調で不足しがちな栄養素の1つにマグネシウムがあります。

マグネシウムは糖質からエネルギーを取り出すために欠かせない栄養素です。従って、これが不足するとブドウ糖をエネルギーに変換する際の効率が低下してしまいます。

 

このマグネシウムの摂取量が激減したのと糖尿病が増加し始めたタイミングが一致していることを根拠に、新型栄養失調は糖尿病の発症リスクを増大させるという意見があります。

不妊の原因となる可能性

タンパク質には、健康な卵子や精子を作り出すはたらきがあります。

従って、これが不足すると健康な卵子や精子が作られず、不妊につながる可能性があります。また、母体が栄養不足だと胎児も健康に成長することができません。

慢性的な疲れ

タンパク質や糖質は代表的なエネルギー源です。

これらが不足した状態だと常にエネルギーが足りず、慢性的に疲れを感じるようになります。

タンパク質が不足するとどうなる?

タンパク質が不足すると現れる悪影響としては、以下のようなものが挙げられます。

筋肉量の低下

タンパク質はさまざまな用途に使われる栄養素で、筋肉や皮膚、神経伝達物質などの材料にもなります。

そのため、タンパク質が不足すると筋肉が作れなくなり、筋肉量が低下してしまうのです。筋肉量が落ちると消費エネルギー量も低下しますから、徐々に太りやすく痩せにくい体質になってしまいます。

むくみが出やすくなる

むくみは通常、脱水やミネラル不足によって生じますが、タンパク質の一種である「アルブミン」が不足することでも、むくみが出やすくなります。アルブミンには血管の中と外の水分量を調節する働きがあるので、これが不足すると水分が血管の外に流れ出てしまい、むくみが出るのです。

下痢になりやすくなる

タンパク質は、人体のさまざまな臓器の材料です。

胃腸の粘膜や消化酵素もタンパク質でできているため、それが不足すると消化に問題が出ます。消化能力が低下して食べたものを十分に消化できなくなり、頻繁に下痢をするようになってしまいます。

毛髪の色が変わる

髪の毛も「ケラチン」というタンパク質でできています。

そのため、タンパク質が不足すると毛髪にも影響が出るのです。枝毛や切れ毛のほか、髪が細くなったり色が薄くなったりします。

 

なお、タンパク質の食事摂取基準は、エネルギーや他の栄養素が十分に摂取されている前提で定められています。そのため、他の栄養素などが不足していると、一日のタンパク質量を満たしていても栄養状態が維持できない場合があるので、タンパク質だけを十分量取っているだけではいけません。

日本人に不足しがちなミネラル

人体に必須とされているミネラルは、カルシウム、リン、カリウムなど16種類あります。これらの栄養素が不足すると、以下のような悪影響が出てきます。

骨粗しょう症になるリスクが上がる

カルシウムが不足すれば、当然骨密度が低下します。

カルシウムは一般的に日本人に不足しており、不足している状態が続くと骨がどんどんもろくなってしまうのです。特に女性の場合、閉経後はカルシウムの吸収を助けてくれるエストロゲンの分泌が減少するため、意識して取っていてもカルシウムが不足しがちになってしまいます。

貧血になりやすくなる 

健康な人が通常の食生活を送っていれば、欠乏症や過剰症はほぼおこりませんが、鉄や銅、コバルトの不足によって引き起こされます。

特に鉄は血液中のヘモグロビンの材料でもあるので、これが不足すると血液が運べる酸素の量が減少し、貧血になるのです。

 

筋力が低下する

カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウムといった微量ミネラル不足が原因です。

筋肉の直接の材料となるのはタンパク質ですが、これらのミネラルは筋肉が正しくはたらくために必要不可欠な栄養素です。そのため、不足すると筋肉の収縮や神経の反応に問題が生じます。

味覚障害になる

亜鉛の不足で引き起こされます。

味覚を感じ取っているのは、舌の上にある「味蕾(みらい)」という器官です。味蕾は約4週間で新しくなりますが、その味覚に影響を及ぼしているのが亜鉛なのです。

日本人に不足しがちなビタミン

ビタミンは、新陳代謝を助ける役目を持った生命維持に欠かせない栄養素で、脂溶性と水溶性の2種類があります。

 

脂溶性ビタミンはA、D、E、Kの4種類で、水に溶けないので体外に排出されず、脂肪組織や肝臓に貯蔵されるものです。

 

対して、水溶性ビタミンはB1、B2、ナイアシン、B6、B12、葉酸、パントテン酸、ビオチン、Cの9種類で、名前の通り水に溶けるので、過剰に摂取された分は体外に尿として排出されます。

 

これらのビタミンが不足すると、以下のような症状が出ます。

骨粗しょう症になりやすくなる

ビタミンDが不足することで起こります。

ビタミンDには、骨を丈夫にするために欠かせないミネラルであるカルシウムの吸収を助ける働きがあります。従って、これが不足すると骨がもろくなるのです。ビタミンDを作る働きは、加齢によって減衰していきます。

食欲不振になる

ビタミンA、B2の不足によって起こります。

皮膚炎になりやすくなる

ビタミンB2、B6、ナイアシン、ビオチンの不足が原因です。

栄養失調を予防する方法

栄養失調の予防のためにもっとも基本的なことは、当然ですがバランスのとれた食事を毎日きちんと取ることです。

 

朝食を取らない、毎日同じものばかり食べている、サプリメントに頼っているなどに心当たりがあるなら、すぐに改善しましょう。

 

厚生労働省は「健康づくりのための食生活指針」にて、1日30品目を食事に取り入れることを推奨しています。もちろん、ただ種類が多ければいいわけではありません。エネルギーになるもの、体を作るもの、体調を整えるものの3つのポイントを意識して献立を作ってください。

 

また、献立の基本形は、主食・主菜・副菜であることも忘れてはいけません。

調理にも工夫が必要です。素材の持ち味を生かすことはもちろん、食べやすいような切り方を意識し、彩りにも気を使うといいでしょう。

 

料理はただ単にお腹がふくれればいいというものではありません。温度や歯ごたえなどにも注意して、食欲をそそる料理を作りましょう。また、加熱によって壊れる栄養素もありますので、調理方法を選ぶ際には栄養素への影響も考える必要があります。

いくら栄養のバランスを考えた食事であっても、食べ過ぎたり、毎日不規則な時間に食べたりするのはいけません。食事は毎日決まった時間に、適切な量を食べるようにしましょう。

 

漫然と食事を取っているだけでは、バランスよく栄養を取り入れることはできません。食材に含まれる栄養素をきちんと把握して、必要な栄養素を摂ることができる献立を作りましょう。

栄養をたっぷり摂って健康な体を目指そう

食事を取っていれば、栄養も十分足りているとは限りません。

むしろ、一見食事をきちんと取っているように見えて、実際には栄養が不足しているという新型栄養失調が増えてきています。

 

無理なダイエットや偏ったメニューの食事が日常化していると、健康を維持するための栄養素が不足します。こうした新型栄養失調の影響は、骨粗しょう症や糖尿病の発生リスクの増大、不妊などにつながるのです。また、各種栄養素が不足するし、新型栄養失調になることで、身体にはさまざまな不具合が生じるので注意が必要です。

 

こうした症状を防ぐためには、栄養のとれたバランスの良い食事を、毎日きちんと決まった時間に適切な量取ることが大切です。栄養は健康の基礎となる重要な要素ですから、毎日の献立は栄養バランスをしっかり意識してください。

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【肩書】  株式会社けんこう総研代表取締役社長 健康づくりコンサルティング研修講師 【最終学歴】 早稲田大学大学院 スポーツ科学健康スポーツマネジメント修了 【著書】 「職場ノメンタルヘルスケアと実践~ストレス対処における栄養・運動・休養~」講談社2018年9月発売 【資格】 厚生労働省登録管理栄養士・スポーツ科学修士 【メディア出演】 NHKクローズアップ現代・日経新聞全国版

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